食品表示の製造者と販売者、どっちを書く?具体例でわかる書き方|個人の住所・屋号も解説

食品表示の製造者・販売者の書き方 販売者向け

この記事は、2026年10月時点の食品表示基準と、消費者庁「食品表示基準Q&A」(2026年10月1日改正版)、通知「食品表示基準について」にもとづいて書いています。個別の表示が問題になるかどうかは、商品や販売の形で判断されます。迷ったときは、お住まいの地域の食品表示の担当窓口(保健所など)にご相談ください。

ラベルのいちばん下にある「製造者」の欄。「販売者と書くのはどんなとき?」「個人なので自宅の住所を書くしかないの?」「屋号だけではだめ?」と迷う方は多いと思います。

この記事では、中級食品表示診断士のリーリーが、消費者庁の資料をもとに、製造者と販売者のどっちを書くかを手作りお菓子の7つの具体例で整理し、個人で売るときの名前と住所の考え方もまとめます。

先に結論です。

この記事の結論

  1. 自分で作ったら「製造者」です。マルシェ、ネット、お店に置いてもらうなど、どこで売っても変わりません。「販売者」は、作るのを頼んで自分のお店の名前で売る人が使い、作った場所(製造所)も一緒に書きます
  2. 実際に作った場所の住所も、ラベルに書くのが基本です(番地まで)。製造者の欄の住所と同じなら1つで足り、ちがうときは「製造所」として書き足します
  3. 作った人が個人なら、氏名を書きます。屋号だけでは足りません。「ひだまり菓子店(代表 山田花子)」のように一緒に書くのは大丈夫です
リーリー
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製造者と販売者、どっちを書く?

いちばん迷うのがここだと思います。決め手は、そのお菓子を、だれが作ったかです。どこで売るか、だれが売り場に立つかでは決まりません。

製造者か販売者かの早見図。自分で作ったら製造者、作るのを頼んで自分のお店の名前で売るなら販売者と製造所、仕入れたものを小分けするなら加工者、仕入れたものを袋のまま売るなら書き足さなくてよい

消費者庁のQ&Aでは、表示に責任を持つ人が作った本人なら「製造者」とするのが基本で、作った人と話し合って、売る人が代わりに責任を持つことにした場合に「販売者」と書く、と説明されています。

つまり「販売者」は、自分では作っていない人が使う事項名です。自分で作ったお菓子なら、マルシェで売っても、ネットで売っても、お店に置いてもらっても「製造者」です。

具体例で見てみましょう

手作りお菓子を売るときによくある7つの場面で、何を書くかを並べました。ラベルの例は、一括表示のいちばん下の部分だけをぬき出しています。

例1 自宅に作った作業場(許可を取った場所)で焼いたクッキーを、マルシェやネットショップで売る

製造者

自分で作って自分で売る、いちばん基本の形です。作った人も、表示に責任を持つ人もあなたで、住所と作った場所も同じなので、「製造者」としてあなたの氏名と住所を書けば、これ1つで足ります。

製造者山田 花子
○○県○○市○○町1-2-3

例2 自分で作ったマフィンを、近所のカフェに置いて売ってもらう

製造者

売るのはカフェでも、作ったのはあなたです。ラベルは「製造者」として、あなたの氏名と住所を書きます。カフェの名前を書く必要はありません。
(カフェが表示に責任を持つと、カフェとあなたで決めた場合に限り、カフェが「販売者」になります。そのときは、あなたの工房を「製造所」として一緒に書きます)

製造者山田 花子
○○県○○市○○町1-2-3

例3 自分のお店の厨房で焼いて、そのお店の店頭で売る

製造者(作った場所と作った人)

作った場所でそのまま売る場合は、表示に責任を持つ人の氏名と住所は書かなくてよいことになっています。ただし、作った場所(お店の住所)と作った人の氏名は書きます。見た目は例1とほとんど同じになります。お店の名前を、氏名と並べて書くこともできます。同じお菓子をマルシェなどほかの場所でも売るときは、この例には当たりません。表示に責任を持つ人の氏名と住所も書く、例1や例4の形にします。

製造者ひだまり菓子店(代表 山田 花子)
○○県○○市○○町1-2-3

例4 自宅の住所で表示して、お菓子は自宅とは別の工房やレンタルキッチンで作る

製造者+製造所

作ったのはあなたなので「製造者」です。ただ、作った場所が、製造者の欄に書いた住所とちがいます。この場合は、作った場所の住所を「製造所」として、製造者の欄のすぐ近くに書き足します。作った人はあなたなので、製造所の欄に名前をもう一度書く必要はありません。

製造者山田 花子
○○県○○市○○町1-2-3
製造所○○県○○市△△4-5-6

例5 お菓子屋さんにレシピを渡して作ってもらい、自分のブランドで売る

販売者+製造所

自分では作っていないので、書き方は2通りです。どちらにするかは、作る側とあらかじめ決めておきます。

あなたが表示に責任を持つと決めた場合

販売者山田 花子
○○県○○市○○町1-2-3
製造所株式会社□□製菓
○○県○○市××7-8-9

お菓子屋さんが表示に責任を持つ場合

製造者株式会社□□製菓
○○県○○市××7-8-9

例6 大袋で仕入れたドライフルーツを、小袋に分けて売る

加工者

仕入れたものを小分けして包み直すのは、消費者庁のQ&Aで「加工」にあたる行為としてあげられています。小分けした人が「加工者」として、氏名と住所を書きます。小分けした場所があなたの住所と同じなら、これ1つで足ります。袋を新しくするので、名称や原材料名などの表示も、あなたのラベルに書き直します。

加工者山田 花子
○○県○○市○○町1-2-3

例7 ほかのお店の焼き菓子を仕入れて、袋のまま一緒に並べる

書き足さなくてよい

ラベルは作ったお店がつけたもののままで売れます。あなたの名前を書き足す必要はありません。ただし、表示が正しくない食品は、売る側も売ってはいけない決まりです(食品表示法第5条)。仕入れるときに、ラベルがついているか、期限が切れていないかは確かめておきましょう。

「自分で作ったのに、売るのは自分だから販売者?」と迷ったら、作ったのが自分なら製造者と覚えておけば大丈夫です。

ラベルに書く「人と住所」は2種類

ここからは、ラベルの「人と住所」の欄に何を書くのかを、もう少しくわしく見ていきます。

ラベルに書く人と住所は、表示に責任を持つ人と、作った場所と作った人の2種類。同じなら1つにまとめられる

食品表示基準では、ラベルに書く人と住所について、目的のちがう2つの決まりがあります。

① 表示に責任を持つ人の、氏名と住所

ラベルの内容に責任を持つ人(表示責任者)の氏名と住所です。消費者庁のQ&Aでは、買った人が問い合わせをするための表示だと説明されています。

この欄の事項名が「製造者」「販売者」「加工者」です。どれを使うかは、上の早見図のとおりです。

② 作った場所と、作った人

もう1つは、実際に作った場所の住所(製造所の所在地)と、作った人の氏名です。こちらは、食べる人の安全を守るための表示です。

ここでいう「作った場所」は、本社や事務所、住んでいる家の住所ではなく、最後に食品の衛生状態が変わる作業をした場所です。個人なら、お菓子を作った店舗や工房などの住所になります。

2つが同じなら、1つにまとめられる

自分で作って自分が責任を持ち、製造者の欄に書く住所で作っているなら(例1)、①と②は同じ人・同じ場所です。この場合は①を書くだけで、両方を満たしたことになります。手作りお菓子の販売では、この形がいちばん多いと思います。①の住所と作った場所がちがうときは、例4のように「製造所」を書き足します。

作った場所(製造所)は、どこに書く?

決まりは、表示に責任を持つ人(製造者や販売者)の欄のすぐ近くに書くことです。消費者庁のQ&Aの表示例でも、表示に責任を持つ人の欄のすぐ下に「製造所」を書いています。一括表示の枠の外に書くこともできますが、その場合も、表示に責任を持つ人の欄の近くに書きます。

個人の名前は「氏名」を書く

個人の名前の書き方。屋号だけはだめで、氏名を書く。屋号と氏名を一緒に書くのはよい

作った人(製造者)の名前は、誰が作ったのかがはっきり分かるように書く決まりです。個人の場合は氏名を書きます。消費者庁の通知でも、個人は氏名を書き、屋号で代えることは認めないとされています。

  • × ひだまり菓子店
  • ○ 山田 花子
  • ○ ひだまり菓子店(代表 山田花子)

屋号やブランド名、ロゴマークを氏名と一緒に書くのは、買う人に誤解を与えない範囲であれば問題ありません。お店の名前を覚えてもらうためにも、氏名と並べて書くのがおすすめです。

「販売者」として書く名前も、氏名?

作るのを頼んで自分が「販売者」になる場合、販売者の欄に書く名前について、個人の書き方をはっきり示した消費者庁の資料は、調べた範囲では見つかりませんでした。食品表示基準の言葉は「氏名又は名称」で、個人なら氏名にあたります。「販売者なら屋号だけでよい」という説明を見かけることもありますが、その根拠になる公的な資料は見当たりません。製造所固有記号の届け出では、屋号だけでの届け出は認められず、個人は氏名で届け出ることになっています。氏名を書いておくのが確実です(屋号を並べて書くのは大丈夫です)。

住所の書き方

作った場所の住所は、消費者庁の通知で、住居表示に従って番地(住居番号)まで書くことになっています。「○○市」で止めたり、番地を省いたりはできません。

ただし、政令指定都市と県庁所在地の市は、都道府県名を省略できます。たとえば「横浜市」(政令指定都市)や「前橋市」(群馬県の県庁所在地)なら、「神奈川県」「群馬県」を書かなくてもかまいません。

自宅の住所を載せたくないとき

個人で売る方から、いちばんよく聞く悩みです。正直にお伝えすると、ラベルから住所をまるごと省くことは、基本的にはできません。そのうえで、考え方を整理します。

作った場所は、自宅ではなく「作った場所」

②の住所は、実際にお菓子を作った場所です。許可を取った工房やお店、レンタルキッチンなどで作っているなら、その場所の住所を書きます。反対に、自宅の一角を許可を取った作業場にしている場合は、そこが作った場所なので、その住所を書くことになります。

表示に責任を持つ人の住所は、窓口に確認を

①の住所について、消費者庁のQ&Aでは「問い合わせなどに応じられる人の住所であればよく、法人の場合は登記している住所でなくてもよい」と説明されています。

一方で、個人の場合について同じことを書いた資料は、調べた範囲では見つかりませんでした。消費者庁のQ&Aには、製造所固有記号の届け出で、個人は住所として「生活の本拠」(ふだん住んでいるところ)を届け出る、という説明があります。ラベルの住所について直接書いたものではありませんが、個人は自宅の住所を書くのが前提と考えておくのが安全です。

「工房の住所で①と②をまとめて書きたい」「自宅以外の住所を書きたい」という場合は、ラベルを作る前に、都道府県などの食品表示の担当窓口や保健所に確かめておくと安心です。

自宅の住所を書かずにすむ形

  • 作った場所でそのまま売る:工房やお店の店頭など、作った施設・敷地の中で売る場合は、①は書かなくてよいことになっています。ただし②(作った場所と作った人)は書くので、工房やお店の住所は出ます。マルシェやイベントのように、作った場所とは別の場所で売るときは当たりません
  • 作るのを頼み、作る側が表示に責任を持つ:作る側が「製造者」として表示すれば、ラベルに書かれるのはその事業者の名前と住所です

「製造所固有記号」は使える?

市販品で、住所の代わりに「+AB」のような記号が書かれていることがあります。これは製造所固有記号といって、原則として同じ商品を2か所以上の工場で作っている場合に、消費者庁に届け出て使える仕組みです。1か所で作っている個人のお菓子では、基本的に使えません。

書かなくていい場合・省略できる場合

  • 作った場所でそのまま売るとき:①は不要。②は必要です(上で説明したとおり)
  • ラベルを貼れる面積が30平方センチメートル以下の小さな包装:②(作った場所)は省略できます。ただし、①(表示に責任を持つ人の氏名と住所)は省略できません。また、作った場所でそのまま売るとき(①を書かなくてよいとき)は、②も省略できません
  • 包装しないで売るとき:量り売りなど、容器包装に入れないで売る場合は、そもそもラベルの表示はいりません

くわしくは、食品表示しなくていい場合はいつ?でまとめています。

電話番号やメールアドレスは書く?

電話番号、メールアドレス、ショップのURLなどは、義務ではありません。ただ、消費者庁のQ&Aでは、買う人にとって大事な情報なので、一括表示の枠の中に書いてもかまわないとされています。

ただし、住所の代わりにはなりません。住所を書いたうえで、問い合わせ先として添える形です。

自分の商品の書き方、これで合っている?

作る場所や売り方(工房で売る、マルシェで売る、作るのを頼んでいる、など)によって、書き方が変わるところです。中級食品表示診断士のリーリーが、販売前の表示を一項目ずつ点検して、直したほうがよい箇所を報告書でお返しします。

レシピから作ってほしい方は一括表示の作成サービス、ココナラ以外ならお問合せフォームからどうぞ。

よくある質問

「販売者」だけ書けばいい?

自分で作っていない人が「販売者」になるときは、販売者の氏名と住所だけでは足りません。作った場所と作った人(製造所)も一緒に書きます(例5)。例外は、30平方センチメートル以下の小さな包装(製造所を省略できる)などに限られます。

製造者と販売者を、両方書いてもいい?

作った会社の名前は、例5のように「製造所」として書くのが基本の形です。それとは別に「製造者」として作った会社を載せたい場合、消費者庁のQ&Aでは、販売者が責任を持つことがはっきり分かるように、一括表示の枠の外に書くよう案内しています。枠の中に書くなら、どちらが表示に責任を持つのかを、作る側と決めておきます。

ネットショップで住所を出していなくても、ラベルには書く?

はい、書きます。ネットショップのページ(特定商取引法に基づく表記)で住所を出していない場合でも、それとは別のルールなので、商品のラベルには食品表示のルールどおりに住所を書きます。

まとめ

  • 自分で作ったら「製造者」。どこで売っても変わらない
  • 作るのを頼んで自分のお店の名前で売るなら「販売者」+すぐ近くに「製造所」。仕入れて小分けしたら「加工者」
  • 表示の住所と作った場所がちがうときは、「製造所」として作った場所の住所を書き足す
  • 個人は氏名を書く。屋号だけはだめで、「屋号(代表 氏名)」はよい
  • 作った場所の住所は番地まで。政令指定都市・県庁所在地の市は都道府県名を省略できる
  • ①の住所を自宅以外にしたいときは、事前に窓口へ確認を。作った場所で売る、作るのを頼むなど、自宅の住所を書かずにすむ形もある
  • 30平方センチメートル以下の小さな包装でも、①は省略できない

ラベル全体の作り方は、手作りお菓子の食品表示の作り方で、名称から順番に説明しています。

作った表示、そのまま出して大丈夫?

中級食品表示診断士(食品表示検定中級合格)のリーリーが、販売前の表示を一項目ずつ点検して、直したほうがよい箇所を報告書でお返しします。一から作ってほしい方向けの作成もあります。

レシピから作ってほしい方は一括表示の作成サービス、ココナラ以外ならお問合せフォームからどうぞ。

出典・参考

  • 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条・第5条
  • 消費者庁「食品表示基準Q&A」第2章 加工食品(2026年10月1日改正版)総則-15・16、加工-112、114〜117、120〜123、191、193、252
  • 消費者庁「食品表示基準Q&A」別添 製造所固有記号(固有記号-1・7・31・33)
  • 食品表示法 第5条
  • 消費者庁 通知「食品表示基準について」(製造所等の所在地・氏名の表示)
  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」加工食品(食品関連事業者及び製造所等)
リーリー

この記事を書いた人

リーリー調理師・中級食品表示診断士

食品メーカーで食品表示の実務を担当していました。いまは調理師として働きながら、パッケージの裏の読み方をやさしく伝えています。

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