「手作りクッキーの栄養成分表示、成分表から計算した数字で大丈夫?」
「分析に出さないといけないの?」
結論から言うと、計算で出した数字で表示してかまいません。ただし、そのときは「推定値」などのひと言を書くことと、計算の根拠になった資料を保管しておくことが決まりになっています。そして、推定値を使えない場面もあります。
この記事では、中級食品表示診断士のリーリーが、推定値のルールを食品表示基準と消費者庁の資料で確かめながら、図と表でやさしくまとめました。
先に結論:推定値で表示するときの3つのルール
そもそも「推定値」ってなに?
栄養成分表示の数字の出し方は、大きく分けて2つあります。検査機関で分析した値と、計算などで出した推定値です。
食品表示基準では、推定値のことを「原材料における栄養成分の量から算出して得られた値、当該食品と同様の組成と考えられるものを分析して得られた値その他の合理的な推定により得られた値」と書いています。手作りのお菓子なら、日本食品標準成分表などを使って材料から計算するのがいちばん現実的です。
ちなみに、分析に出す場合の検査機関の指定はありません(食品表示基準Q&A 加工-110)。
書き方:入れるひと言は、この2つのどちらか
消費者庁の通知「食品表示基準について」では、推定値で表示するときは「推定値」か「この表示値は、目安です。」のどちらかの言葉を入れるよう決めています。表示のイメージはこうです。
| 熱量 | ○kcal |
|---|---|
| たんぱく質 | ○g |
| 脂質 | ○g |
| 炭水化物 | ○g |
| 食塩相当量 | ○g |
ひと言は、お客さんが数字と一緒に読めるように、栄養成分表示の枠の中か、すぐ近くに書きましょう。一部だけ推定値にする場合も、消費者庁のQ&Aで「栄養成分表示に近接した場所」に書くよう示されています(食品表示基準Q&A 加工-109)。
一部の成分だけ推定値にするとき
たとえば「食塩相当量だけ計算で出した」ように、一部だけ推定値にすることもできます。その場合は、どの成分が推定値なのかわかるように、「○○は推定値」「○○以外の栄養成分については、推定値」などと、栄養成分表示のすぐ近くに書きます(食品表示基準Q&A 加工-109)。
保管しておく資料(計算で出した場合)
推定値で表示するには、数字の根拠になった資料を保管することが条件です。消費者庁の通知では、計算で出した場合の資料として、次のようなものが挙げられています。
保管のしかたは、紙でもデータでもかまいません。保管する期間は、次のとおりです。
※定期的に内容を確認することも求められています。
また、成分表が新しくなったときは、すぐに表示を変える必要はありませんが、パッケージを作り直すときなどに最新の値で見直すのが望ましいとされています(食品表示基準Q&A 加工-105)。
焼き菓子はここに注意:焼くと軽くなる
焼き菓子は、焼くと水分が飛んで軽くなります。栄養成分(たんぱく質や脂質など)はほぼそのまま残るので、「100gあたり」を焼く前の材料の合計の重さで計算すると、実際より小さい数字になってしまいます。
(焼く前)を量る
水分が飛んで軽くなる
焼き上がりの重さを量って記録しておけば、正しい「100gあたり」や「1個あたりの重さ」が出せますし、そのまま保管する資料(重さの変化のデータ)にもなります。
手作りだと1個ずつ重さがばらつきますよね。そのときは、栄養成分表示の枠の外に「1個の重量にばらつきがありますが、表示値は55gの場合の値です。」のような補足を書くことができます(食品表示基準Q&A 加工-108)。
推定値が使えない場面:強調表示をするとき
パッケージに栄養成分を強調する言葉を書くと、推定値は使えません(食品表示基準 第3条)。どんな言葉が当てはまるかは、消費者庁の通知で次のように決まっています。
| 表示の種類 | 当てはまる言葉 | 書き方の例 | 推定値 |
|---|---|---|---|
| 高い旨 | 「高」「多」「豊富」など | たんぱく質豊富 | × |
| 含む旨 | 「源」「供給」「含有」「入り」「使用」「添加」など | カルシウム入り | × |
| 含まない旨 | 「無」「ゼロ」「ノン」など | 脂質ゼロ | × |
| 低い旨 | 「低」「ひかえめ」「少」「ライト」など | カロリーひかえめ | × |
| 糖類を加えていない旨 | 「糖類無添加」「砂糖不使用」など | 砂糖不使用 | × |
| 食塩(ナトリウム塩)を加えていない旨 | 「食塩無添加」など | 食塩無添加 | × |
| 強調しない | — | 栄養成分表示だけ | ○ |
※栄養成分の働きを書く表示(栄養機能食品など)も、推定値は使えません。
※「チョコチップ入り」のような材料の話は、栄養成分の強調表示ではありません。
しかも、強調した成分だけではなく、表示するすべての栄養成分が、分析した値で許容差の範囲に入っている必要があります。消費者庁のQ&Aでは「Ca豊富」と書いた場合を例に、カルシウムだけでなく全部の成分が対象だと答えています(食品表示基準Q&A 加工-224)。
参考:「許容差」ってどのくらい?
推定値と書かずに表示する場合(分析値など)は、分析した値が、表示した数字に対して次の範囲に入っている必要があります(食品表示基準 別表第九)。「0」と書けるのは、100gあたりの量が右の列の量に満たないときです。
| 成分 | 許容差 | 「0」と書ける量 (100gあたり) |
|---|---|---|
| 熱量 | ±20% (100gあたり25kcal未満なら±5kcal) | 5kcal未満 |
| たんぱく質 | ±20% (100gあたり2.5g未満なら±0.5g) | 0.5g未満 |
| 脂質 | ±20% (100gあたり2.5g未満なら±0.5g) | 0.5g未満 |
| 炭水化物 | ±20% (100gあたり2.5g未満なら±0.5g) | 0.5g未満 |
| ナトリウム (食塩相当量) | ±20% (100gあたり25mg未満なら±5mg) | 5mg未満 |
そもそも栄養成分表示は必要?
消費税の免税事業者など、小規模の事業者が自分で売る場合は、栄養成分表示を省略できます。ただし、次のときは話が変わります。
- 自分から栄養成分を表示するとき → この記事のルールどおりに書く必要があります
- 小規模でない事業者(大きめのお店など)が販売するとき → 省略できません(食品表示基準Q&A 加工-167)
- 強調表示をするとき → 省略できません
省略できる条件のくわしい話は、食品表示の作り方で解説しています。
計算は無料ツールでできます
ラベルくらべるの栄養成分表示メーカーは、材料と分量を入れるだけで、日本食品標準成分表(八訂)をもとに熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量を計算します。出てくる表示には「この表示値は推定値です。」が自動で入ります。
焼いたときの水分の蒸発までは反映しきれないので、焼き上がりの重さは自分で量って確かめてください。入力した材料と分量を控えておけば、それが保管する資料(レシピ)になります。
🥗 栄養成分表示メーカーを使ってみる(無料)まとめ
作った栄養成分表示、書き方は合っていますか?
中級食品表示診断士(食品表示検定中級合格)のリーリーが、販売前の表示を一項目ずつ点検して、直したほうがよい箇所を報告書でお返しします。一から作ってほしい方向けの作成もあります。
レシピから作ってほしい方は一括表示の作成サービス、ココナラ以外ならお問合せフォームからどうぞ。
出典:食品表示基準 第3条・別表第九・附則第6条/消費者庁「食品表示基準について」(栄養成分の量及び熱量、栄養強調表示)/消費者庁「食品表示基準Q&A」加工-102・105・108・109・110・167・224/文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

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