この記事は、2026年10月時点の食品表示基準と、消費者庁「食品表示基準Q&A」(2026年10月1日改正版)にもとづいて書いています。個別の表示が問題になるかどうかは、商品や表示全体で判断されます。迷ったときは、お住まいの地域の食品表示の担当窓口(保健所など)にご相談ください。
「国産小麦使用」「十勝産小豆使用」「有機小麦粉使用」。こだわりの材料を使っていると、袋の表に大きく書きたくなりますよね。
でも、こうした言葉は、食品表示のルールでは「特色のある原材料」と呼ばれていて、書き方によっては使った割合もいっしょに書く決まりがあります。この記事では、食品表示診断士のリーリーが、消費者庁の資料をもとに、特色のある原材料とは何か、割合表示が必要になる場面と書き方を、お菓子やパンの例で整理します。
先に結論です。
この記事の結論
- 「国産小麦使用」のように、産地・有機・品種・ブランドなどの特色がある材料を使ったと書くときは、その材料の割合を書くのが基本です(食品表示基準 第7条)
- 割合は、「国産小麦40%使用(小麦粉に占める割合)」のように、同じ種類の材料の中での割合で書くのが基本。100%なら省略できます
- 表に書かない、作ったお店でそのまま売る、などの場合は割合表示はいりません。ただし、実際より多く使っているように見せる書き方は、景品表示法の問題にもなります



「特色のある原材料」とは?消費者庁が示す7つの種類
「特色のある原材料」とは、ふつうの名前の材料(小麦、小豆、バターなど)に、産地やブランドなどの言葉をつけて、ほかと差をつけた材料のことです。消費者庁のQ&Aでは、次の7つに整理されています。
| 種類 | 消費者庁Q&Aの例 |
|---|---|
| ①特定の産地のもの | 国産大豆絹豆腐、十勝産小豆使用、トルコ産ヘーゼルナッツ使用 |
| ②有機のもの(有機JAS) | 有機小麦粉使用、有機牛肉使用 |
| ③遺伝子組換えでないもの | (遺伝子組換えの表示のルールで書く) |
| ④特定の場所で作られたもの | 北海道で製造されたバターを使用、群馬県で精製されたこんにゃく粉入り |
| ⑤特別な育て方の農産物 | 特別栽培ねぎ入り、栽培期間中農薬不使用のにんじん使用 |
| ⑥品種の名前 | とちおとめ使用、コシヒカリ入り |
| ⑦銘柄・ブランド・商品名 | 宇治茶使用、松阪牛使用、市販の商品名を「○○使用」 |
お菓子やパンなら、「国産小麦使用」「北海道産小麦使用」「十勝産小豆使用」「有機小麦粉使用」「とちおとめ使用」「宇治茶使用」などがよくある例です。市販のチョコレートなどを、その商品名で「○○使用」と書く場合も、⑦にあたります。
消費者庁は、このルールの目的を「国産××使用」と書いてあると、買う人は国産××を100%使っていると受け取る。実際には10%しか使っていなかったら誤解をまねく。だから割合を書く、と説明しています(Q&A 加工-198)。
小麦粉は全部国産だと思いますよね。
割合表示は、その思いこみとのズレをなくすためのルールです。
割合表示が必要になる4つの場面
割合を書く必要があるのは、特色のある材料を使ったことを強調して書いたときです。使っていても、どこにも書かなければ、割合表示はいりません(Q&A 加工-206)。強調にあたるのは、次の4つの場面です。
| 場面 | お菓子・パンでの例 |
|---|---|
| ①袋の表などに「○○使用」「○○入り」と書く | 袋の表に「国産小麦使用」のシール |
| ②商品名に入っている | 「十勝産小豆のどら焼き」「とちおとめのジャム」 |
| ③説明文に書く | 「北海道産小麦を使い、ていねいに焼き上げました」 |
| ④一括表示の原材料名の( )に書く | 原材料名に「小麦粉(北海道産小麦)」 |
④のように、一括表示の中に書いた場合も強調にあたる点に気をつけましょう。
割合の書き方|表示例
「小麦粉に占める割合」と書くのが基本
割合の書き方は、食品表示基準 第7条で次の2つから選べることになっています。
- 同じ種類の材料の中での割合:小麦粉のうち、国産小麦の小麦粉が何%か(「小麦粉に占める割合」と書きそえる)
- 使った材料全体の中での割合:お菓子に使った材料(添加物もふくむ)全部の重さのうち、国産小麦の小麦粉が何%か
消費者庁のQ&Aは、基本は「同じ種類の材料の中での割合」で書くべき、としています(加工-207)。たとえば、クッキーに小麦粉を300g使い、そのうち120gが国産小麦の小麦粉なら、120÷300で40%です。
または「このクッキーに使った小麦粉のうち、国産小麦は40%です」
割合は重さで計算します。濃縮果汁とふつうの果汁のように状態がちがうものを混ぜるときは、同じ状態に換算した重さで比べます(加工-208)。
書く場所は2か所から選べる
割合は、次のどちらかに書きます(食品表示基準 第7条)。
- 「国産小麦使用」と書いたすぐ近く
- 一括表示の原材料名の、その材料のあとの( )の中
消費者庁のQ&Aでは、原材料名に書く例として「うるち米(コシヒカリ50%)」が示されています(加工-207)。ただ、お菓子では小麦粉がいちばん重い材料になることが多く、その場合は原材料名に「小麦粉(国内製造)」のような原料原産地も書く必要があります。( )の中が込み入るので、強調した文字のすぐ近くに書くほうがわかりやすいでしょう。
また、強調した場所が複数あるなら、強調した場所すべてに割合を書く必要があると考えられています(加工-207)。袋の表と側面の両方に「国産小麦使用」と書いたなら、両方に割合を書きます。
一括表示の例(袋の表に「国産小麦40%使用(小麦粉に占める割合)」と書いた場合)
| 名称 | 焼菓子 |
|---|---|
| 原材料名 | 小麦粉(国内製造)、バター、砂糖、卵/膨脹剤、(一部に小麦・乳成分・卵を含む) |
| 内容量 | 6枚 |
「○割」や「○%以上」でも書ける
- 「○割」:53%なら「5割」と書けます。ただし、四捨五入ではなく切り捨て。79%を「8割」とは書けず、「7割」です。5%のように1割に満たないときは「○割」では書けないので、「5%」と書きます(加工-209)
- 「○%以上」:季節などで割合が変わるときは、いちばん少ないときの数字で「45%以上」「4割以上」と書けます。「45〜52%」のような幅のある書き方はできません(加工-210)
少ししか使わないなら、重さも書くと親切
ごく少しだけ使う材料を「○○県産りんご100%使用(りんごに占める割合)」と書くと、計算上は正しくても、たくさん入っているように受け取られかねません。消費者庁のQ&Aは、こうした場合は「製品中に○○県産りんごを5%(○グラム)使用」のように、材料全体の中での割合や重さを書く例を示しています(加工-207)。
割合表示がいらない場合
その材料を100%使っているとき
小麦粉が全部国産小麦なら、割合を省略して「国産小麦使用」だけで大丈夫です(食品表示基準 第7条のただし書き)。
強調して書かないとき
国産小麦を使っていても、袋にも説明文にも書かないなら、割合表示はいりません(加工-206)。
「黒糖」「抹茶」のような、ふつうの名前のとき
「黒糖」「三温糖」「抹茶」「りんご酢」などは、その名前自体がふつうの名前として定着しているので、特色のある原材料にはあたりません(加工-204)。ただし、たとえば黒糖とほかの砂糖を混ぜて使っているのに「黒糖使用」とだけ書くと、砂糖は全部黒糖だと受け取られるおそれがあります。原材料名を「砂糖(上白糖、黒糖)」のように書くなど、誤解のない書き方にしましょう。
また、「抹茶」はふつうの名前でも、「○○産抹茶」のように産地などの言葉をつけると、特色のある原材料になります。消費者庁のQ&Aも、「青のり」はふつうの名前だが「○○産青のり」は特色のある原材料にあたる、と説明しています(加工-204)。
「粗挽き」「二段仕込み」など、作り方の特色のとき
作り方の特色は、割合表示の義務はありません(加工-204)。ただし、たとえば炭焼き焙煎の麦とふつうの麦を混ぜているなら、「炭焼き焙煎麦をブレンドして…」のように、事実がわかる説明にするのが望ましい、とされています。聞かれたときに説明できる根拠も必要です。
原材料名に、産地を全部、多い順に書くとき
原料原産地のルールにしたがって、原材料名に産地を全部(または2つ以上)、多い順に書く場合は、特定の産地だけを強調していることにはならないので、割合はいりません(加工-200)。たとえば「○○(国産、A国、B国)」のような書き方です。
ただし、一括表示の外の袋の表に「国産○○使用」と書いたら、それは強調なので、割合が必要になります(加工-200)。
作ったお店で、そのまま売るとき
食品表示基準 第7条は、食品を作った場所で売る場合と、お酒には、この割合表示のルールを使わないとしています。「作った場所で売る場合」とは、作る人と売る人が同じで、同じ施設や敷地の中で作って売ることで、洋菓子店・和菓子店・パン屋さんの製造小売などがあたります(加工-191)。
マルシェやイベント会場で売る場合や、ほかのお店に置いてもらう委託販売は、作った場所とはちがうところで売るので、割合表示のルールが使われます。
ただし、割合表示がいらない場合でも、実際よりたくさん使っているように見せる書き方は、景品表示法の「優良誤認」の問題になることがあります。消費者庁も、食品表示のルールだけでなく景品表示法にも気をつけるよう呼びかけています(加工-202)。
あわせて読みたい「手作り」「自家製」「天然」は書いていい?食品表示と景品表示法の線引き【お菓子・パン販売者向け】販売者がつまずきやすい書き方
「国産小麦粉」と書く前に、小麦の産地を確かめる
小麦粉の袋に「国内製造」と書いてあっても、それは日本で粉にしたという意味で、小麦が国産とは限りません。外国産の小麦を日本で粉にした小麦粉もたくさんあります。
食品表示基準は、作った場所や加工した場所を、ただ「○○産」と書くことを、産地を誤解させる表示として禁止しています(第9条、加工-149)。「国産小麦使用」と書く前に、小麦粉の袋や仕入れ先の資料で、原料の小麦の産地を確かめましょう。
買ってきたバターなのに「牛乳使用」
市販のバターを買って使っているのに、「牛乳使用」と書くのは適切ではない、とされています(加工-201)。自分で使った材料はバターだからです。同じように、黒糖を買って使っている場合に「沖縄産さとうきび使用」と書くのも適切ではありません。
ただし、「使用している黒糖は、全て沖縄県産さとうきびから作られています。」のように、事実をそのまま説明する書き方はできる、とされています。
有機JASマークのない材料に「有機」
「有機小麦粉使用」のように書けるのは、有機JASの格付を受けた(有機JASマークのついた)材料を使った場合だけです(加工-61)。有機JASマークのない食品に「有機」「オーガニック」などと書くことは、法律で禁止されています(JAS法、加工-211)。
有機の材料を使ったと書く場合も、割合表示のルールがかかります(100%なら省略できます)。また、お菓子そのものに「オーガニッククッキー」のように書くには、お菓子自体が有機JASの認証を受けている必要があります。
材料の銘柄(商品名)を書くとき
市販のチョコレートや抹茶などを、その商品名で「○○使用」と書くのも、特色のある原材料にあたります(加工-202、203)。ほかのチョコレートと混ぜて使うなら、割合が必要です。
違反するとどうなる?
割合を書かずに「国産小麦使用」と書いたり、実際より多く見せたりすると、食品表示基準に合わない表示として、都道府県などから指導や指示を受けることがあります。特色のある材料をまったく使っていないのに「使用」と書くのは、表示禁止事項にあたる例としてQ&Aに挙げられています(加工-277-1)。
あわせて読みたい食品表示法の違反と罰則|ミスが見つかったらどうなる?書く前のチェックリスト
- その言葉は、産地・有機・品種・ブランドなど「特色のある原材料」にあたるか
- 使った割合は100%か。100%でないなら、割合を書いたか
- 割合は「小麦粉に占める割合」のように、何の中の割合かを書いたか
- 強調した場所(表・側面・商品名など)すべてに、割合を書いたか
- 「○割」は切り捨てにしたか。幅のある書き方(40〜50%など)にしていないか
- 「国産小麦」と書く前に、原料の小麦の産地を確かめたか
- 「有機」と書くなら、有機JASマークのついた材料か
でも「小麦粉の40%が国産小麦」と正直に書くと、
かえってこだわりが具体的に伝わります。
よくある質問
「たっぷり」と書くときも割合はいる?
「青のりたっぷり」のように、ふつうの名前の材料なら、特色のある原材料にはあたりません。ただ、「たっぷり」など量が多いことを強調するなら、当社比などの基準を持っていて、聞かれたら答えられることが必要、とされています(加工-204)。「○○産青のりたっぷり」のように産地をつけると、特色のある原材料になります。
「いちご風味」と書くのは?
「○○風味」は味や香りの特徴を表す言葉なので、特色のある原材料にはあたりません。香料だけで風味をつけたものにも「レモン風味」とは書けますが、「レモン使用」とは書けません(加工-205)。
ネットショップの商品ページやSNSに書くときは?
食品表示基準 第7条の割合表示は、袋や箱などの容器包装に書く表示のルールです。ただ、商品ページやSNSで「国産小麦使用」と書くときも、実際より多く使っているように受け取られる書き方は、景品表示法の問題になることがあります。袋と同じように割合を書いておくと安心です。
まとめ
- 「国産小麦使用」「十勝産小豆使用」「有機小麦粉使用」などは「特色のある原材料」。強調して書くなら割合を書くのが基本
- 割合は「国産小麦40%使用(小麦粉に占める割合)」のように、何の中の割合かを書く。100%なら省略できる
- 書く場所は、強調した文字のすぐ近くか、原材料名の( )。強調した場所すべてに書く
- 「○割」は切り捨て。変動するなら「○%以上」。幅のある書き方はできない
- 「国内製造」の小麦粉でも、小麦が国産とは限らない。原料の産地を確かめてから書く
- 作ったお店でそのまま売る場合などは割合表示はいらないが、誤解をまねく書き方は景品表示法の問題になりうる
こだわりの材料は、正確な数字といっしょに書くほど、買う人に信頼されます。
出典・参考
出典・参考資料の一覧を開く(5件)
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号) 第7条(特色のある原材料等に関する事項)・第9条
- 消費者庁「食品表示基準Q&A」第2章 加工食品(2026年10月1日 第23次改正) 加工-61、149、191、198〜212、277-1
- 消費者庁「食品表示基準Q&A」新旧対照表(2026年10月1日改正)
- 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法) 第5条
- 農林水産省「有機食品の検査認証制度」
この記事は、公開されている法令・行政資料などをもとに、食品表示検定中級の資格者が一般的な情報としてまとめたものです。個別の判断は、お住まいの地域の食品表示の担当窓口(保健所など)にご相談ください。
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