この記事は、経済産業省「計量法における商品量目制度Q&A集」(令和7年12月)と計量法にもとづいて書いています。個別の商品の扱いで迷ったときは、お住まいの地域の計量検定所にご相談ください。
「内容量200g」と書いて詰めたお菓子。売るころにも、本当に200gありますか?
袋に詰めたお菓子は、売るまでの間に重さが変わることがあります。とくにしっとりした焼き菓子は、中の水分が少しずつ抜けて軽くなりやすく、詰めたときにぴったりだと、売るときには書いた重さより少なくなっていることがあります。あまり知られていませんが、気づかないまま売ってしまいやすいところです。
そこで役に立つのが、軽くなる分を見こして、はじめから少し多めに入れておく入れ目(いれめ)です。この記事では、お菓子が軽くなることがある理由と、入れ目とは何か、何g入れればいいのかを、順番に説明します。
詰めたお菓子は、売るまでに軽くなることがある

どれくらい変わるかは、お菓子と包み方しだい
焼き菓子は、詰めたあとも中の水分が少しずつ抜けて、軽くなることがあります。パウンドケーキやマドレーヌのように、しっとりした水分の多いお菓子ほど起こりやすいことです。このように、時間がたって重さが減ることを目減り(めべり)といいます。
一方、よく焼いた乾いたクッキーを熱でとじた袋に入れた場合は、ほとんど変わらないこともあります。湿気の多い場所に置くと、逆に湿気を吸って重くなることもあります。お菓子の種類、袋、置き場所の組み合わせで変わるので、自分の商品で一度量ってみないと分からないのです。
東京都計量検定所が2025年7〜8月にスーパーや食品工場などで行った立入検査(食肉・魚介・野菜・惣菜などが対象)では、重さが足りなかった22点のうち8点(36.4%)が「乾燥による減量」が原因でした。正しく量って詰めていても、時間がたって軽くなってしまったケースです(この検査は、乾燥で減りやすい商品を中心に調べています)。お菓子でも同じことが起こりえます。
重さは「売るときまで」足りている必要がある

お菓子の内容量をグラムで書くと、計量法の量目公差(りょうもくこうさ)という決まりがかかります。書いた重さより、どこまで少なくてもよいかの決まりです。たとえば200gなら、196g以上あれば大丈夫です。
そして経済産業省のQ&Aでは、この重さは詰めたときだけでなく、お客さんに売るときまで守る必要があるとされています。詰めたときにちょうどだと、売るときには足りなくなっているかもしれません。だから入れ目が必要になります。
ネットショップで売る場合は、お客さんに発送するときまでです(経済産業省Q&A 全般-44)。
あわせて読みたい量目公差の早見表|内容量は何gまでズレていい?計量法をお菓子で解説入れ目(いれめ)とは?
軽くなっても重さが足りなくならないように、はじめから入れておくのが入れ目です。入れ目は、袋に書いた重さ(内容量)より少し多めに入れること、また、その多めに入れた分のことです。読み方は「いれめ」です。
たとえば「内容量 200g」と書く袋に、202g詰めたとします。このとき、多めに入れた2gが入れ目です。

経済産業省のQ&Aでも、賞味期限まで重さを保てるように多めに量ることを、「いわゆる『入れ目』をした」と書いています。
入れ目は何g?決め方の2ステップ
入れ目を何gにするか、法律で決まった計算式はありません。最初の章のとおり、どれだけ軽くなるかは商品によってちがうからです。
なので、自分の商品で実際に量って決めるのがいちばん確実です。次の2ステップで決められます。

ステップ1:どれだけ減るか量る
いつもと同じ袋・同じ包み方で、何袋か詰めます。詰めた日に1袋ずつ重さを量ってメモし、いつもと同じ場所に置いておきます。売る日(できれば賞味期限の日)に、同じ袋をもう一度量ります。
減り方は袋ごとに少しずつちがうので、いちばん多く減った袋の数字を使います。この数字が入れ目です。経済産業省のQ&Aでも、レトルト食品についての回答ですが、密封の前と後での減り方をサンプルで前もって確かめておき、その分を見こした量を詰める方法が挙げられています(全般-36)。季節によって乾き方が変わるので、夏と冬で一度ずつ量っておくと安心です。
ステップ2:書いた重さに足す
袋に書く重さに入れ目を足した重さを、1袋ずつ下回らないように詰めます。
図の例なら、いちばん減った袋が2gなので、入れ目は2g。200gと書く袋には、1袋ずつ202g以上になるように詰めます。売る日にいちばん減った袋でも200gあるので、書いた重さを下回りません。
「200gなら196gまで少なくてもいいのだから、入れ目はいらないのでは?」と思うかもしれません。量目公差は、量るときにどうしても出てしまう誤差を見こした幅です(経済産業省Q&A 全般-9)。減ると分かっている分は入れ目で足しておき、量目公差は、はかりの誤差などのために残しておくと安心です。
入れ目率とは
入れ目を、袋に書いた重さに対する割合(%)で表すこともあります。これを入れ目率と呼ぶことがありますが、法律で決まった言葉ではありません。この記事では、次の式で計算します。
入れ目率(%)=入れ目 ÷ 袋に書いた重さ × 100
図の例なら、2g ÷ 200g × 100 = 1%です。重さのちがう商品をいくつも作るときは、割合で覚えておくと、ほかの重さにも当てはめやすくなります。ただ、お菓子の種類や袋の大きさで減り方は変わるので、商品ごとに一度は量って確かめてください。
入れ目は多いほど安心?
多めに入れておけば安心、とは言い切れません。計量法には「正確に量るように努める」という決まりがあり、経済産業省は入れすぎの目安を示しています。
| 袋に書いた重さ | 入れすぎの目安 | 例 |
|---|---|---|
| 5g以上50g以下 | 5gまで | 30g → 35gまで |
| 50g超300g以下 | 10%まで | 200g → 220gまで |
| 300g超1kg以下 | 30gまで | 500g → 530gまで |
| 1kg超 | 3%まで | 2kg → 2,060gまで |
大きくこえる入れすぎは、指導や勧告の対象になることがあります。
ただし、経済産業省のQ&Aでは、賞味期限まで重さを保つための入れ目が、この目安をこえてしまう場合でも、自然に減る分を見こした必要最小限のものであれば、入れ目を優先してよいとされています。「念のため10g多く」のような余裕の取りすぎは避け、量った数字をもとに決めましょう。
入れ目を決めるときの注意
詰めるときのはかりは「検定付き」
内容量を書いて売るお菓子を量るはかりは、検定に合格した印のあるもの(検定付き)でなければ使えません。家庭用のキッチンスケールは使えません。
一方、ステップ1のように減り方を調べるためだけに量るのは、作る工程の中で自分が確かめるための計量で、結果を外に示すものではないので、取引には当たりません。家庭用のはかりでもかまいません。ただ、小数点以下まで量れるもののほうが、減り方がよく分かります。
袋の閉じ方で減り方が変わる
袋を熱でとじる(密封する)と、袋の外との水分の出入りが少なくなるので、重さの変化も小さくなりやすくなります。包み方を変えたときは、もう一度ステップ1から量り直してください。
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袋の口を、しっかり密封するには
袋の口を熱でとかして閉じる「シーラー」を使うと、口からの空気や湿気の出入りを防げます。お菓子を入れる袋は、「食品衛生法適合」と明記されたものを選んでください。
日本のメーカー(石崎電機製作所)のSURE NL-203Jは、交換用の部品も手に入るので長く使えます。値段はお店によって15,000円台〜16,000円台です(2026年10月時点)。
なお、熱でとじると「密封」になります。チョコレートや1個3g未満の小さなクッキーなどは、密封して売るなら内容量を重さで書く決まりがあるので、下の「入れ目を考えなくていい書き方」もあわせて確認してください。
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個包装の袋の重さは入れない
内容量は、1枚ずつ包んだ袋などをのぞいた中身の重さです。詰めるときに袋ごと量るなら、袋の重さを引いて考えます。
入れ目を考えなくていい書き方
量目公差がかかるのは、内容量を重さ(g)で書いたときです。手作りクッキーなどは、内容量を「6枚」のように個数で書くこともできます。個数で書けば重さの決まりはかからないので、入れ目を考える必要もありません。
ただし、チョコレートやスナック菓子、1個3g未満の小さなクッキーなどは、密封して売るなら重さで書く決まりがあります。くわしくは量目公差の記事で説明しています。
自分の商品の内容量で、何g以上あればよいか(量目公差)と、入れすぎの目安を確かめたいときは、無料の計算ツールが使えます。
うちの商品は、グラムで書く?個数で書く?
商品の種類や袋の閉じ方で答えが変わるところです。中級食品表示診断士のリーリーが、内容量もふくめて販売前の表示を一項目ずつ点検し、直したほうがよい箇所を報告書でお返しします。
レシピから作ってほしい方は一括表示の作成サービス、ココナラ以外ならお問合せフォームからどうぞ。
まとめ
- 袋に詰めたお菓子は、売るまでに軽くなることがある。しっとりした焼き菓子ほど起こりやすいが、どれくらいかは量ってみないと分からない
- 入れ目(いれめ)は、目減りを見こして、袋に書いた重さより少し多めに入れること(また、その分)
- お菓子が乾いて軽くなっても、売るとき(ネット販売なら発送するとき)まで重さが足りるようにするために入れる
- 入れ目の量に決まった計算式はない。自分の商品が売る日(賞味期限)までにどれだけ減るかを量り、いちばん多く減った袋の数字を入れ目にする
- 入れ目率=入れ目÷袋に書いた重さ×100
- 入れすぎにも目安がある。ただし自然に減る分を見こした必要最小限の入れ目なら、目安をこえてもよい
- 内容量を個数で書けば、入れ目は考えなくてよい(重さで書く決まりのお菓子もある)
出典・参考
- 経済産業省「計量法における商品量目制度Q&A集」(令和7年12月)全般-1・8・9・27・36・44
- 計量法 第10条・第12条・第13条・第16条
- 特定商品の販売に係る計量に関する政令(第3条・第5条)
- 東京都計量検定所「令和7年度(前期)商品量目立入検査の結果」

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