内容量は何gまでズレていい?計量法の量目公差をお菓子で解説

販売者向け

この記事は一般的な情報をまとめた解説です。掲載内容は執筆時点のものであり、個別の食品表示の適法性を保証するものではありません。実際の表示内容は、お住まいの地域の計量検定所・消費者庁の最新情報をご確認のうえ、ご自身の責任で最終決定してください。

「クッキーの内容量に『200g』と書いたけど、量ってみたら198g。これって表示違反?」

内容量は、実測した数字をそのまま書けばいい……と思いきや、実は計量法という法律に「量目公差」という許容範囲のルールがあります。この記事では、その具体的な数字と、手作り焼き菓子にどう関係するかを、政令の原文にもとづいて解説します。

この記事でわかること
・量目公差とは何か、何のためのルールか
・焼き菓子(菓子類)に関係する具体的な数字
・表示より軽い場合と重い場合で扱いが違うこと
・「販売するときまで」公差内である必要があること
・違反するとどうなるか

量目公差ってそもそも何?

量目公差(りょうもくこうさ)は、計量法という法律で決められている、「表示した重さと、実際の重さのズレの許容範囲」のことです。根拠は計量法第12条第1項と、それを受けた政令「特定商品の販売に係る計量に関する政令」(平成5年政令第249号)です。

この記事では法律の言葉づかいに合わせて、パッケージに書いた数字を「表示量」、実際に入っている量を「真実の特定物象量」(実量)と呼びます。お菓子の場合、この「特定物象量」は質量(重さ)のことです。

量目公差が守るのは「表示より軽くなっていないか」

量目公差は、表示量より実際の中身が少ない場合(不足)に適用されるルールです。政令第3条には「表示量が当該特定商品の真実の特定物象量を超える場合」の誤差として定められています。

入れすぎ(過量)も、まったく自由ではありません
表示より多く入っている分には、法律上の「量目公差」は定められていません。ただし計量法第10条第1項に「正確にその物象の状態の量の計量をするように努めなければならない」という努力義務があり、経済産業省はQ&A(全般-9)で過量の目安を示しています(表示量5〜50g→5g、50g超〜300g→10%、300g超〜1000g→30g、1000g超→3%)。これを大きく超える入れすぎは、指導・勧告の対象になりえます。「多めに入れておけば安心」とは言い切れないので注意してください。

対象になるのは、決められた29項目の商品だけ

量目公差は、すべての食品に一律にかかるルールではありません。政令の別表第一に29項目として掲げられた「特定商品」に該当する商品にだけかかります。お菓子は「菓子類」として第12号に入っていて、対象になります。

食品表示法の「内容量」とは別の法律の話
「一括表示に内容量を書かなければならない」というルールは、このブログで解説している食品表示法にもとづくものです。今回の量目公差は計量法という別の法律の話で、「表示した重さが、どこまで正確でなければいけないか」を定めています。内容量を重さで表示するときは、この2つの法律が両方関わってくると考えてください。

一括表示の書き方そのものについては、こちらの記事にまとめています。

焼き菓子に関係する数字(量目公差表)

菓子類には、政令別表第二の「表(一)」の数字が適用されます。適用されるのは表示量が5g以上5kg以下のときです(下限は政令第3条第1号、上限5kgは別表第一 第12号で菓子類に決められた数字)。

表示量 誤差(許容範囲)
5g以上50g以下 4%
50g超100g以下 2g
100g超500g以下 2%
500g超1kg以下 10g
1kg超25kg以下 1%

表の最後の行は25kgまでありますが、表(一)を使う商品のうち上限が25kgなのは精米・精麦だけなので、この行が実際に使われるのは主にお米です。菓子類は5kgが上限なので、1kg超〜5kgのケーキなどには「1%」が適用されます(例:2kgのケーキなら20g)。

パーセントで書かれた誤差は表示量に対する割合です(実際に測った重さに対してではありません)。

なお、5g未満や5kg超には量目公差の定めがありません。ただし「何のルールもかからない」わけではなく、計量法第10条第1項の正確計量の努力義務は引き続きかかります。これを守らず適正な計量の確保に著しい支障が生じていると認められれば、都道府県知事などによる勧告(同条第2項)・公表(同条第3項)の対象になりえます。

実際に計算してみる

たとえば、内容量「200g」と表示する場合。200gは「100g超500g以下」の区分なので、誤差は2%です。

200g × 2% = 4g。つまり、196g以上あれば表示違反にはなりません。196g未満だと、公差を超えた不足として扱われる可能性があります。

内容量200gの量目公差の計算例

この「196g」という下限は、端数処理をせずにそのまま合否の判定に使います。

「1個でも」不足していたらアウトという考え方
経済産業省のQ&A(全般-16)では、「法定計量単位を示して販売されている特定商品に一つでも量目公差を超えて不足している商品が見つかった場合、当該商品に関しては法12条第1項違反(密封されている場合は第13条違反)として扱われ、都道府県知事又は特定市町村(中略)による指導、勧告等の対象となり得ます」とされています。ロット全体の平均で196g以上あればセーフ、という考え方ではありません。省令第2条でも、行政の立入検査は商品を「個々に」見て公差を超えていないか判定すると定められています(これは行政の検査方法を定めた規定で、事業者の社内検査の手順を義務づけたものではありませんが、平均で帳尻を合わせる考え方は通用しない、ということです)。

見落としやすい:「販売するときまで」公差内であること

経済産業省のQ&A(全般-27)では、「商品を『販売するとき』までの間、量目が量目公差内に維持されている必要があります」とされています。焼き菓子は時間が経つと水分が抜けて軽くなるため、包装した時点でぴったり196gでは足りません。自然に減る分を見越して少し多めに詰める(入れ目)ことは認められています。Q&Aでは、賞味期限まで品質を保つために必要な入れ目が先ほどの過量の目安を超えてしまう場合でも、必要最小限であれば入れ目を優先して差し支えないとされています。あくまで「必要最小限」が前提なので、余裕を見すぎた入れすぎは避けてください。

「約200g」と書くのはNG

「約」をつければ誤差の幅が広がる、ということはありません。それどころか、菓子類のような特定商品では「約○g」というあいまいな表示自体ができません(Q&A 全般-30)。パッケージだけでなく、立て札・下げ札・カタログなどでも同じ扱いになります。

なお「○g以上」「○g〜○g」という書き方については、はっきり禁止されているわけではありませんが、公差の基準になる表示量が特定できないため、Q&Aで「できるだけ取引に使用しないでください」とされています。

「200g(20g×10枚)」と書くときの注意

詰め合わせでよくある、総量と1枚あたりの重さを併記する書き方。この場合、200gと20gの両方に、それぞれ量目公差がかかります(Q&A 全般-18、全般-42)。20gは「5g以上50g以下」の区分なので誤差4%=0.8g。思ったより厳しい数字になるので、併記するかどうかは慎重に決めてください。

また、内容量は個装紙などを除いた「裸の重さ」で表示します。Q&Aでは「食べ終わったときに通常残すもの」を風袋として扱うと説明されていて、1枚ずつ包んだ包材はこの風袋にあたるため、重さに含めません(果物の皮や種のように、もともと中身に含まれるものは風袋になりません)。

ただし、衛生上などの理由で個装紙を外すと適正に計量できない場合は、「個装紙込みの量である」とはっきり表記していれば、個装紙込みで表示しても差し支えないとされています。

端数の丸め方に、法律の決まりはない

153.4gと書くか154gと書くか、といった桁数の丸め方そのものには、法律の定めがありません。JIS規格(JIS Z 8401)を参考にする例が多いですが、あくまで参考であって義務ではありません。経済産業省のQ&A(全般-38)でも「商品に表記すべき物象量の小数点以下の桁数について、法令に定めはありません」としたうえで、目安として「商品に表記する量は有効数字4桁以下とするのがよいでしょう」と示されているだけです。

単位の選び方には決まりがあります
省令では「特定物象量を表す数値が一万以上とならないような法定計量単位を用いること」とされています。つまり「10000g」以上になる場合は、gではなくkgで表示します(Q&A 全般-33)。手作りのお菓子でここに当たることはまずありませんが、単位の選び方にルールがあることは知っておくと安心です。

密封して重さを書くなら、氏名・住所も必要

計量法第13条は、密封した特定商品への内容量の表記について定めています。表記が義務なのは政令で限定列挙された商品だけで(1個3g未満のビスケット類・キャンデー、缶入りのプリン・ゼリーなど/第1項)、手作りのクッキーやケーキはここに入りません。
ただし、義務の対象外でも自分の判断で内容量を書くなら、量目公差を守って計量する必要があります(第2項)。そして第3項で、その表記には表記する人の氏名(または名称)と住所を付記しなければならないと定められています。食品表示法の「製造者」欄とは別に、計量法にも同じ趣旨の義務があるということです。袋を密封してクッキーに「200g」と書くなら、この付記も必要になります。

違反するとどうなる?

いきなり罰則にはなりません。計量法上の流れは、次の段階を踏みます。

  1. 勧告……購入者の利益が害されるおそれがあるとき、都道府県知事または特定市町村の長から、必要な措置をとるべきことを勧告(第15条第1項)
  2. 公表……勧告に従わないとき、その旨が公表されることがある(第15条第2項)
  3. 命令……正当な理由なく従わないとき、措置をとるべきことを命令(第15条第3項)
  4. 罰則……命令に違反すると、50万円以下の罰金(第173条第2号)

罰則がつくのは「命令に違反した場合」で、不足がわかった時点でいきなり罰金、という制度ではありません。とはいえ、まずは計量検定所などの抜き打ちチェックで不足が見つかるところから始まるので、日頃から量って確認しておくのが一番の対策です。

はかりは「公差の3分の1以下」の目量で

使うはかりの目量(最小表示単位)についても、法令の定めはありません。ただし経済産業省のQ&A(全般-35)では、おおよその目安として「量目公差の3分の1以下の目量を持つはかりを使用するのがよい」とされています。200gの商品なら公差は4gなので、目量1g以下のはかりが目安になります。0.1g単位のキッチンスケールなら十分です。

すべてのお菓子が対象、というわけではない

量目公差がかかるのは、重さを法定計量単位(gなど)で表示する場合だけです。重さを表示していなければ、量目公差の対象にはなりません。

ただし、これは抜け道にはなりません。容器包装に入れて売る加工食品は、食品表示法で内容量の表示が必要だからです。重さを書かずに済むのは、対面での量り売りなど限られた場合だけと考えてください。

パンは対象外、焼き菓子は対象
食パン・菓子パン・調理パン・イーストドーナツは非特定商品で、量目公差の対象になりません(冷凍しても同じ)。一方、ビスケット・クッキー・クラッカー・パイ・ケーキ類・かすてらなどは菓子類として対象です。
これは政令の条文にパンの除外規定が書いてあるわけではなく(別表第一第12号は「菓子類」とあるだけ)、経済産業省のQ&A(分類-63、参考-2)による行政解釈です。
なお、名指しで非特定商品とされているのは「イーストドーナツ」で、それ以外のドーナツについてQ&Aは触れていません。「ドーナツは全部対象外」と一般化はできないので、迷ったら経済産業省の計量行政室に確認するのが確実です。
また、ケーキを冷凍食品として売る場合は第12号(菓子類)ではなく第21号(2)の「調理冷凍食品」に分類され、適用される公差表も表(一)から表(二)に変わります(200gなら2%=4g→3%=6g)。

まとめ

ここまでの内容を、もう一度まとめます。

  • 量目公差は「表示より軽い場合」の許容範囲。菓子類は表示量5g以上5kg以下で適用
  • 100g超500g以下なら誤差2%。200g表示なら196g以上が必要(196g未満は不足)
  • パーセントは表示量に対する割合。1個でも公差を超えて不足していれば違反として扱われうる
  • 「販売するときまで」公差内である必要がある。焼き菓子は水分が抜けるので入れ目で調整
  • 「約200g」という書き方はできない。「200g(20g×10枚)」は両方に公差がかかる
  • 入れすぎにも目安があり、著しい過量は指導・勧告の対象になりえる
  • 密封して重さを書くなら、氏名・住所の付記も必要
  • 違反しても、いきなり罰則ではなく「勧告→公表→命令→罰則」の段階を踏む

内容量を書くときは、実測して数字を丸めるだけでなく、この誤差の範囲も頭に入れておくと安心です。

この記事は一般的な情報をまとめたものです。実際の適用や判断は、お住まいの地域の計量検定所・消費者庁の最新情報をご確認ください。

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