手作りお菓子の食品表示の作り方|名称から順番に、これさえ見れば一括表示が作れます

この記事は一般的な情報をまとめた解説です。掲載内容は執筆時点のものであり、個別の食品表示の適法性を保証するものではありません。実際の表示内容は、お住まいの地域の保健所・消費者庁の最新情報をご確認のうえ、ご自身の責任で最終決定してください。

「食品表示、結局どこから手をつければいいの?」
「ネットで調べても、項目がバラバラに出てきて全体像がつかめない」

ハンドメイドのお菓子や加工食品を売り始めるとき、多くの人がここでつまずきます。この記事は、食品表示検定中級・食品表示診断士のリーリーが、一括表示に書く項目を、実際に書く順番どおりに、ひとつずつ解説するページです。上から順に読んでいけば、自分の商品の表示が一通り作れるようになります。

もっと詳しく知りたい項目が出てきたら、途中に貼ってある個別記事にどうぞ。まずはこのページだけで、全体の流れをつかんでください。

この記事でわかること
・一括表示に必要な8つの項目と、実際に書く順番
・そもそも表示が必要かどうかの判断基準
・栄養成分表示・原料原産地表示が必要になる条件

今回の例|手作りフロランタンで一括表示を作ってみます

言葉だけで説明されても、なかなかイメージがわきませんよね。そこでこの記事では、実際にひとつの商品を例にしながら、一括表示を最初から最後まで作っていきます。今回の例は「フロランタン」。クッキー生地に、キャラメルとナッツをのせて焼いたお菓子です。

まずは簡単な作り方から見てみましょう。

材料(15枚分の目安)
・クッキー生地……小麦粉100g、バター45g、砂糖30g、卵20g
・キャラメルアーモンド……生クリーム30g、バター20g、砂糖30g、アーモンド(スライス)50g

作り方

  1. クッキー生地を作り、天板に薄くのばして下焼きする
  2. アーモンドを乾煎りしておく
  3. 生クリーム・バター・砂糖を煮詰めてキャラメルソースを作り、アーモンドを混ぜる
  4. 下焼きしたクッキー生地の上にキャラメルアーモンドをのせて再度焼き、冷めたら食べやすい大きさにカットする

このフロランタンをもとに、これから一括表示の8項目を順番に見ていきます。

食品表示は、なぜ必要なの?

食品表示は、袋やパッケージに「この食品の中身を、買う人に正しく伝える」ための情報です。なぜ必要かというと、買う人の安全のためです。卵アレルギーのある人が、表示のないクッキーをうっかり食べてしまったら、命に関わることもあります。「何が入っているか」「いつまでに食べればいいか」「誰が作ったか」がわかって、はじめて安心して買えるわけです。

だからこそ、容器包装に入れて売る加工食品には、食品表示法で表示が義務づけられています。「手作りだから」「個人だから」は、免除の理由にはなりません。

まず確認|あなたの商品は表示が必要?

本題に入る前に、そもそも表示が必要かどうかを確認しておきます。食品表示基準では、次のような場合は表示が不要(または一部省略可)とされています。

  • 外食(その場で提供して食べてもらう飲食店等)
  • 容器包装に入れずに販売する場合(対面でその場で量り売りして手渡す等)
  • 酒税法や米トレーサビリティ法など、他の法令ですでに表示している場合
  • 製造・加工した場所でそのまま販売する場合(パン屋・洋菓子店の製造小売など)
  • 不特定多数への無償の譲渡(販売ではない場合)
  • 容器包装の表示可能面積が30cm²以下の場合

「製造した場所でそのまま販売する場合」の省略は、一部の項目(原材料名・内容量・栄養成分表示・原料原産地名・食品関連事業者の氏名及び住所など)に限られます名称・アレルゲン・添加物・期限表示・保存方法は、包装して売るなら省略できません。「製造小売だから何も書かなくていい」という意味ではないので、混同しないようにしてください。

上のどれにも当てはまらず、袋や容器に入れて販売するなら、ここから先の「一括表示」が必要になります。

作る前に準備すること

一括表示を作る前に、次の2つを手元に用意しておくと、このあとの作業が一気に早くなります。

  1. レシピを確定する(材料と、それぞれの使用量・分量)
  2. 市販材料の原材料表示を控えておく(チョコレート、ミックス粉、マーガリンなど、既製品を使った場合はパッケージ裏の「原材料名」欄を見て、その中に入っている添加物やアレルゲンを拾い出す必要があります)

また、「どこで・どうやって売るか」もこの段階で決めておいてください。自分のショップ(minne等)で直接売るのか、マルシェで委託販売するのか、卸すのかによって、あとで説明する栄養成分表示の扱いが変わってきます。

一括表示、書く順番どおりに解説します

ここからが本題です。一般的な加工食品の一括表示に必要な項目を、実際に表示する順番どおりに解説します。下の画像は、フロランタン(クッキー生地にキャラメルとナッツをのせた焼き菓子)を例にした見本です。読み進めながら見比べてください。

一括表示の書き方サンプル|フロランタン

①名称

その食品の中身を表す、一般的な名称を書きます。商品名(ブランド名)ではありません。たとえばクッキーやサブレ、マフィン、パウンドケーキなどは、まとめて「焼菓子」と書くのが一般的です。

複数のフレーバーを1つの袋・箱に詰め合わせて売る場合は、名称のうしろにカッコで中身をまとめて書きます(例:焼菓子(チョコ、抹茶))。逆に、お菓子の種類そのものをカッコに入れる(例:焼き菓子(サブレ))のは、あまり一般的な書き方ではありません。

一括表示の①名称の書き方

②原材料名

使った原材料を、使用量(重量)が多い順に書きます。これが基本ルールです。

同じ原材料は、使用量を合計してから順位を決める
生地とトッピングなど、複数の工程で同じ原材料を使うこともあります。その場合はそれぞれの使用量を合計してから順位を決めます。今回のフロランタンなら、バターはクッキー生地に45g、キャラメルアーモンドに20g使っていて、合計65g。単体では50gのアーモンドより軽く見えますが、合計するとアーモンドより重くなり、小麦粉(100g)に次ぐ2位になります。

既製品を使うと「複合原材料」になる
市販のチョコレートやキャラメルソースのように、すでに複数の原材料からできている既製品を材料に使うと「複合原材料」になり、名称のうしろにカッコで中身も重い順に書きます。たとえば市販のキャラメルソースを使うなら、キャラメルソース(生クリーム、バター、砂糖)などのように書きます。中身が3種類以上あるときは、重量順位が3位以下かつ割合5%未満のものを、まとめて「その他」とすることもできます(例:キャラメルソース(生クリーム、バター、砂糖、その他))。また、その複合原材料が全体の5%未満のとき、または名称だけで中身が明らかなときは、中身の表示を省略できることもあります。

原材料名の欄には、食材のあとに「/(スラッシュ)」で区切って添加物を続けて書きます。「/」の前が食材、後ろが添加物です。読むときも、この記号を境に見分けられます。

一括表示の②原材料名の書き方

③添加物

原材料名の「/」から後ろに、使った添加物を重量順に書きます。膨脹剤、着色料、乳化剤などが該当します。

複数の添加物をまとめて表す「一括名表示」というルールもあります。焼き菓子でよく見るのは「膨脹剤」。重曹やベーキングパウダーなど、生地をふくらませる添加物をまとめて1つの分類名で書けます。「乳化剤」「香料」なども同じ一括名表示です。

一括表示の③添加物の書き方

④アレルゲン表示

原材料の中に、表示が義務づけられている特定原材料が含まれる場合は、必ず明記します。義務表示の対象は、卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに・くるみ・カシューナッツの9品目です(2025年4月にくるみ、2026年4月にカシューナッツが加わりました)。このほか、表示が推奨されている品目(アーモンド、マカダミアナッツなど)が20品目あり、あわせて29品目が対象です。焼き菓子ではアーモンドやくるみ、カシューナッツなどのナッツ類を使うことが多いので、とくに見落とさないようにしてください。

アレルゲンは使った量に関係なく表示が必要です。「ちょっとだから」は通用しません。また、市販材料(チョコレート、マーガリンなど)に含まれるアレルゲンも見落としがちなので、パッケージ裏の表示を必ず確認してください。

一括表示の④アレルゲン表示の書き方

⑤内容量

「8枚」のように個数で書くか、「200g」のように重量で書くか、どちらかを選びます。

クッキーなどのビスケット類は、計量法により「1個の質量が3g未満」の場合、重量(g)表示が義務になります。多くの手作り焼き菓子は1個3g以上なので個数表示で問題ありませんが、小さめに焼く場合は一度重さを量って確認してください。

重量で表示する場合は、実測にもとづいた数値を書きます。無意味に細かい桁数(例:153.4g)は避けて、154gのように、きりのよい数字に丸めるのが一般的です。

一括表示の⑤内容量の書き方

⑥消費期限・賞味期限

どちらか一方を表示します。両者の違いをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

消費期限 安全に食べられる期限。お弁当や生菓子など、傷みやすい食品につきます。過ぎたら食べないのが基本です。
賞味期限 おいしく食べられる目安。過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません(保存状態にもよります)。焼菓子など、比較的日持ちする食品につきます。

どちらも「未開封・表示どおりに保存した場合」が前提です。実際に試作品で保存テストをして、安全に食べられる日数を確認したうえで、余裕を持たせた期間を設定してください。具体的な決め方は、別記事でくわしく解説する予定です。

一括表示の⑥消費期限・賞味期限の書き方

⑦保存方法

賞味期限は、決まった保存条件のもとで保存テストをして設定する数字です。だから保存方法欄には、期限を設定するときに実際に使った保存条件をそのまま書きます。「常温で保存テストをしたのに、パッケージには冷蔵と書く」といったズレがあると、期限の根拠が崩れてしまうので注意してください。

「直射日光・高温多湿を避けて常温で保存してください」のように、実際の保存条件に合わせて書きます。冷蔵・冷凍が必要な商品は、その旨を明記します。

一括表示の⑦保存方法の書き方

⑧製造者

表示内容に責任を持つ人(表示責任者)の氏名と住所を書きます。個人事業主の場合、屋号だけでは不十分で、氏名(本名)が必須です。屋号は個人事業主でも名乗れるブランド名なので、屋号があるからといって法人とは限りません。屋号を出したいときは「屋号+氏名」の形で書きます。法人の場合は会社名でOKです。多くの場合、作った本人の情報になります。

一括表示の⑧製造者の書き方

売り方によって変わること

ここまでが基本の8項目です。ただし、次の2つは商品や売り方の条件によって必要かどうかが変わるため、別枠で説明します。

栄養成分表示は必要?

栄養成分表示(エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量)は、原則としてすべての加工食品で表示が義務です。ただし、次のどちらかに当てはまる小規模の事業者には、省略できるルールがあります。

  • 消費税の免税事業者であること
  • 従業員がおおむね20人以下(商業・サービス業はおおむね5人以下)

ここで注意したいのが「誰が消費者に売るか」という点です。あなたが小規模事業者でも、大きなお店や会社があなたの商品を買い取り、そのお店の名前で売るなら、栄養成分表示が必要になります。省略できるのは、自分が直接消費者に売るとき(minneのように、作家と購入者が直接契約する仕組みも含む)だけです。マルシェの委託販売や、卸し販売に広げるときは、条件が変わっていないか改めて確認してください。

また、「たんぱく質」「ミネラル」など栄養成分に関する強調表示をパッケージにしている場合は、この省略ルールは使えません。

原料原産地表示は必要?

2022年4月から、輸入品を除くほぼすべての加工食品で、原料原産地表示が必要になりました。ただし対象になるのは、使用量が1番多い原材料ひとつだけです。2位以下は書いても書かなくても自由です。

書き方は、その1位の原材料が生鮮食品か加工食品かで変わります。

分類 書き方
生鮮食品(卵など) 国名だけでOK 卵(国産)
加工食品(小麦粉など) 産地ではなく「製造地」を書く 小麦粉(国内製造)

国が2つ以上あるときは、重い順に並べます(例:小麦粉(アメリカ製造、カナダ製造))。なお、前の章で触れた「製造した場所でそのまま販売する場合」は、この原料原産地表示も不要になります(アレルゲン等は引き続き必要です)。

販売前の最終チェックリスト

一通り書き終えたら、販売前に次の点を見直してください。

  • 原材料は、使用量の多い順に並んでいるか
  • 市販材料に含まれるアレルゲン・添加物を、拾い漏れなく反映しているか
  • アレルゲンは、使用量に関係なくすべて明記しているか
  • 「無添加」など、書き方に注意が必要な表現を使っていないか
  • 1位の原材料の原料原産地(または製造地)を書いているか
  • 栄養成分表示は、自分の販売条件で本当に省略できるか
  • 賞味期限・消費期限は、実際の保存テストに基づいているか

ここでよくあるミスをさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

もし表示を間違えたら

「間違えたら即・罰則」ではありません。実際の流れは「指導→指示→命令→罰則」の4段階で、うっかりミスをすぐに直せば、多くは指導・是正で終わります。ただし、アレルゲンや期限表示など、命に関わる表示については、この段階を飛ばして重い対応になることもあります。

この流れと、実際の罰則の重さについては、こちらで詳しく解説しています。

よくある質問

Q. minneで売る場合、この記事の内容だけで足りますか?
minneでは出品前に「食品販売申請」という手続きが別途必要です。営業許可や申請の流れについては、こちらの記事にまとめています。

Q. マルシェで対面販売するだけなら、表示はいらない?
お客さんの目の前で、その場で袋詰めして手渡しする「対面・その場で包装」なら、原則として表示は不要です。ただし、あらかじめ袋詰めして並べて売る場合や、ネット販売の場合は表示が必要です。

Q. 「膨脹剤」って結局なに?
重曹やベーキングパウダーなど、生地をふくらませる添加物をまとめた表示名です。個別の成分名を書かずに「膨脹剤」とまとめて書けるので、焼き菓子のラベルでよく見かけます。

まとめ|あとはラベルメーカーで形にするだけ

ここまでの流れを、もう一度まとめます。

  1. まず、自分の商品が表示の対象かどうかを確認する
  2. レシピと、市販材料の原材料表示を手元に準備する
  3. 名称→原材料名→添加物→アレルゲン→内容量→期限表示→保存方法→製造者の順に書く
  4. 栄養成分表示・原料原産地表示は、商品と売り方に応じて確認する
  5. 販売前に、チェックリストで見直す

項目ごとの意味がわかれば、あとは自分の商品の情報を当てはめていくだけです。毎回この手順を手作業でやるのが大変なときは、無料のラベルメーカーを使うと、必要な項目に沿って自動で一括表示が完成します。

この記事は一般的な情報をまとめたものです。営業許可や表示の最終的な判断は、お住まいの地域の保健所や消費者庁の最新情報をご確認ください。表示内容に不安がある場合は、プロフィールのチェックサービスもご利用いただけます。

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