春になると桜が咲き誇り、目にするだけで気分が華やぎますよね。桜は眺めるだけでなく食材としても親しまれていて、桜餅や桜の和菓子は春の風物詩です。
今回はちょっと変わった角度から、桜スイーツに含まれる栄養素と、選ぶときの食品表示のポイントを、食品表示診断士のリーリーが紹介します。

桜に含まれる注目成分3つ
① ビタミンC
桜の花や葉には、ビタミンCなどの栄養が含まれているといわれることがあります。ただ、スイーツに使われる桜の量はわずかで、日本食品標準成分表(八訂)でも桜もちのビタミンCは0mgです。「桜スイーツで栄養補給」というより、季節の彩りと香りを楽しむものと考えるのがちょうどいいですよ。
② クマリン(桜の香りの正体)
桜餅のあの独特の香り、実はクマリンという成分です。面白いことに、生の桜の葉にはほとんど香りがなく、塩漬けにする過程で生まれる香りなんです。
クマリンには抗酸化作用などの研究報告がありますが、一方で大量に摂ると肝臓に負担をかけることも知られています。クマリンには、毎日一生食べ続けても健康への影響がないと考えられる量の目安(耐容一日摂取量。欧州食品安全機関で体重1kgあたり0.1mg)があります。桜もちを季節にいくつか楽しむ程度なら、心配しすぎる必要はありません。「毎日たくさん」は避けて、春の香りを楽しんでください。
③ ポリフェノール
桜にはポリフェノールも含まれ、抗酸化作用などが研究されています。こちらも量はわずかですが、春らしい彩りと一緒に摂れるのは素敵なおまけです。

桜スイーツを選ぶときの食品表示ポイント
「桜の塩漬け」は塩分もセット
桜の花や葉は塩漬けで使われることが多いので、意外と塩分があります。減塩中の方は、栄養成分表示の「食塩相当量」をちらっと確認してみてください。
ピンク色の正体をチェック
市販の桜スイーツの中には、桜由来ではなく着色料で色づけしているものもあります。「赤3号」「赤106号」などのタール色素(化学的に合成された着色料)が気になる方は、原材料名のスラッシュ(/)以降の添加物欄を確認してみましょう(スラッシュのほか、改行や別の欄で分けて書かれていることもあります)。本物の桜で色と香りを出している商品は、原材料名に「桜葉」「桜花」などの表記があります。

着色料は、原材料名に「着色料(赤3号)」のように、「着色料」という目的といっしょに書くことが決まっています。ほかにも、「着色料(紅麹)」「着色料(アントシアニン)」のように、植物などから作られた着色料が使われていることもあります。どちらも国が使ってよいと認めた添加物で、カッコの中を見ると、何で色をつけているかがわかります。
関東の桜もちと関西の桜もちは、原材料がちがう
「桜もち」と一口に言っても、地域によって2つのタイプがあります。
| タイプ | 生地 | 見た目 |
|---|---|---|
| 関東風(長命寺) | 小麦粉などを水で溶いて、薄く焼いた生地 | クレープのような生地で、あんを巻く |
| 関西風(道明寺) | もち米を蒸して乾かし、砕いた「道明寺粉」 | つぶつぶの生地で、あんを包む |
関東風の生地には、小麦が使われるのがふつうです。関西風は、もち米の道明寺粉が中心ですが、商品によってはほかの原材料も使われます。小麦アレルギーのある方は、どちらのタイプでも、原材料名とアレルギー表示を必ず確認しましょう。
表示を見比べると、思わぬ発見があるかもしれません。
春の食事を楽しみながら、栄養も意識しよう
- 桜の香り(クマリン)は塩漬けで生まれる。スイーツ程度の量なら安心して楽しんでOK
- 桜の塩漬けは塩分もある。気になる人は食塩相当量を確認
- ピンク色が桜由来か着色料かは、原材料名の/以降でチェック
桜スイーツを楽しみながら、食品表示もちらっと見る習慣をつけると、季節の食べ物がもっと豊かに味わえます。甘いものを選ぶときも「何が入っているか」を少し意識するだけで、食への理解がぐっと深まりますよ。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表第六


コメント