この記事は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに書いています。数値は、とくに書いていなければ大人(18〜64歳)の値です。
「五大栄養素って聞いたことはあるけど、それぞれ何をしているの?」
体を車にたとえると、すっきり分かります。炭水化物はガソリン、脂質は予備タンク、たんぱく質は車体と部品、ビタミンはエンジンオイル、ミネラルはボルトとバッテリー。どれか1つだけでは、車はうまく走りません。
この記事では、食品表示診断士のリーリーが、五大栄養素の働きを車のパーツに例えて、ひと目でわかる一覧表と覚え方つきでまとめます。
結論|五大栄養素を車に例えると

| 栄養素 | 車でいうと | 体の中での働き | 多い食べ物 |
|---|---|---|---|
| 炭水化物 | ガソリン | 体と脳を動かすエネルギーになる | ごはん、パン、めん、いも |
| 脂質 | 予備タンク | 少しの量で大きなエネルギーになり、体にためておける。細胞の膜やホルモンの材料にもなる | 油、バター、肉の脂身、ナッツ |
| たんぱく質 | 車体と部品 | 筋肉・内臓・皮膚・髪・血液など、体をつくる材料になる | 肉、魚、卵、大豆製品、牛乳 |
| ビタミン | エンジンオイル | ほかの栄養素の働きを助け、体の調子を整える | 野菜、果物、豚肉、レバー |
| ミネラル | ボルトとバッテリー | 骨や歯、血液の材料になる。体の水分の調整や、神経・筋肉の働きも助ける | 牛乳、小魚、海藻、大豆製品 |
ガソリンが満タンでも、オイルが切れていたり部品が足りなかったりすると、車は走れません。体も同じで、5つがそろって初めて元気に動けます。
五大栄養素とは?三大栄養素との違い
五大栄養素は、食べ物に含まれる栄養素のうち、とくに大切な5つ(炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル)のことです。
このうち、エネルギー(カロリー)になる炭水化物・脂質・たんぱく質の3つが「三大栄養素」です。三大栄養素に、ビタミンとミネラルを加えたものが五大栄養素です。
| 栄養素 | 1gあたりのエネルギー | 車でいうと |
|---|---|---|
| 炭水化物 | 4kcal | 燃料 |
| 脂質 | 9kcal | 燃料(予備タンク) |
| たんぱく質 | 4kcal | 車体と部品(燃料にもなる) |
| ビタミン | エネルギーにならない | エンジンオイル |
| ミネラル | エネルギーにならない | ボルトとバッテリー |
1gあたりの数字(4・9・4)は、食品のエネルギーを計算するときによく使われる値です。ビタミンとミネラルは燃料にはなりませんが、ないと車が動かない、整備の役目をしています。
5つの栄養素を、車のパーツで1つずつ見てみよう
炭水化物=ガソリン|体と脳を動かす燃料
炭水化物は、体を動かすいちばん身近なエネルギー源です。ごはんやパンは消化されてブドウ糖になり、体じゅうに届けられます。脳はふだん、主にブドウ糖をエネルギーにして働いています。
車でいえば、毎日いちばん多く入れるガソリン。1日にとるエネルギーのうち、50〜65%を炭水化物からとるのが目安です。
炭水化物には、エネルギーになる「糖質」と、消化されにくい「食物繊維」があります。食物繊維は、お腹の調子を整える働きをしています。
炭水化物が多い食べ物
脂質=予備タンク|ためておける燃料
脂質は1gあたり9kcalと、炭水化物の2倍以上のエネルギーがあります。使い切れなかったぶんは体脂肪として体にためられ、ガソリンが足りないときの予備タンクのような役目をします。
燃料になるだけでなく、細胞を包む膜やホルモンの材料にもなります。ビタミンA・D・E・Kは油に溶けるビタミンなので、脂質といっしょにとると吸収されやすくなります。
目安は、1日のエネルギーの20〜30%です。
脂質が多い食べ物
たんぱく質=車体と部品|体そのものをつくる材料
筋肉、内臓、皮膚、髪、血液など、体の多くの部分がたんぱく質を材料にしてできています。体の中で働く酵素やホルモンの材料にもなります。
体のたんぱく質は、毎日少しずつ分解されて、新しくつくり直されています。車でいえば、毎日どこかの部品を交換しながら走っているようなもの。だから、毎日の食事でとり続ける必要があります。
1日の推奨量は、男性65g、女性50gです(18〜64歳)。
たんぱく質が多い食べ物
ビタミン=エンジンオイル|燃料を力に変える働きを助ける
ビタミンは、それ自体はエネルギーになりません。でも、炭水化物や脂質からエネルギーをつくる働きや、体の調子を整える働きを助けています。たとえばビタミンB1は、糖質からエネルギーをつくるときに必要です。
エンジンオイルが切れると車がスムーズに動かないように、ビタミンも少しの量で大きな働きをしています。体の中でつくれないか、つくれても足りないものが多いので、食べ物からとる必要があります。
ビタミンは13種類あり、油に溶ける「脂溶性ビタミン」(A・D・E・K)と、水に溶ける「水溶性ビタミン」(B群・C)に分かれます。
ビタミンが多い食べ物
ミネラル=ボルトとバッテリー|体を支え、信号を送る
ミネラルは、カルシウムや鉄、ナトリウムなどのことです。カルシウムは骨や歯の材料になり、鉄は血液の中で酸素を運ぶ役目をします。車体をしっかり固定するボルトのような存在です。
もう1つの顔が、バッテリーのような働きです。ナトリウムやカリウムは、体の水分の量を調整したり、神経や筋肉に信号を伝えたりするのに欠かせません。
食事摂取基準で量が決められているミネラルは13種類あります。このうち食塩(ナトリウム)はとりすぎに気をつけたいもので、1日の目標量は食塩相当量で男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
ミネラルが多い食べ物
五大栄養素の覚え方|はたらきで3つに分ける

学校の家庭科では、五大栄養素を「主にエネルギーになる」「主に体をつくる」「主に体の調子を整える」の3つのはたらきに分けて習います。車に置きかえると、燃料・車体・整備の3グループです。
| はたらき | 車でいうと | 栄養素 |
|---|---|---|
| エネルギーになる | 燃料 | 炭水化物・脂質 |
| 体をつくる | 車体と部品 | たんぱく質・ミネラル |
| 体の調子を整える | オイルと電気 | ビタミン・ミネラル |
食べ物を黄・赤・緑の3色に分ける「三色食品群」も同じ考え方です。黄はエネルギーになる食べ物(ごはん・パン・油など)、赤は体をつくる食べ物(肉・魚・卵・牛乳など)、緑は調子を整える食べ物(野菜・果物・きのこ・海藻など)。献立に3色がそろっていれば、五大栄養素も自然にそろいやすくなります。
そこに栄養素を2つずつ入れていけばOK。ミネラルだけは「車体」と「整備」の両方に入るよ。
1つでも足りないとどうなる?車で考えてみよう
車のどこかが足りないと、こんなふうに調子をくずしやすくなります。体も同じです。
| 車でいうと | 体では |
|---|---|
| ガソリンが少ない(炭水化物) | 力が出にくく、頭も働きにくい |
| 予備タンクが空(脂質) | 体でつくれない脂肪酸や、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)が足りなくなりやすい |
| 部品が足りない(たんぱく質) | 筋肉が落ちやすく、体をつくり直す材料が足りなくなる |
| オイル切れ(ビタミン) | 食べた燃料を、うまくエネルギーに変えにくくなる |
| ボルトがゆるむ(ミネラル) | カルシウムが足りないと骨が弱くなりやすく、鉄が足りないと貧血になりやすい |
反対に、入れすぎも故障のもとです。燃料(エネルギー)をとりすぎると使い切れないぶんが体脂肪になり、食塩をとりすぎると血圧が上がりやすくなります。多すぎず、少なすぎず、5つをそろえるのがいちばんです。
毎日の食事で5つをそろえるコツ
むずかしく考えなくて大丈夫です。まずは1食の中で、主食・主菜・副菜をそろえることから始めましょう。
- 主食(ごはん・パン・めん)でガソリンを入れる
- 主菜(肉・魚・卵・大豆製品)で部品を補う
- 副菜(野菜・きのこ・海藻)でオイルとボルトを足す
- 牛乳・乳製品や果物を、1日のどこかで
- 忙しい日は、冷凍野菜やカット野菜、缶詰、惣菜にも頼ってOK
「今日は野菜が少なかったから、夜はみそ汁に具を足そう」くらいで十分だよ。
栄養成分表示は「体のメーター」
加工食品のパッケージには、栄養成分表示があります。熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5つが、原則として書かれています。
車のメーターで燃料の量を見るように、表示を見ると「この食品で、燃料や部品をどれくらい補えるか」がわかります。ただし、ビタミンやミネラル(食塩相当量以外)は書かれていないことも多いので、表示だけで5つ全部がわかるわけではありません。
くわしく知りたい人へ栄養成分表示の見方|カロリーと栄養素のきほんよくある質問
「第6の栄養素」ってなに?
食物繊維のことを「第6の栄養素」と呼ぶことがあります。食物繊維は炭水化物のうち消化されにくい成分で、お腹の調子を整える働きがあります。1日の目標量は、18〜29歳で男性20g以上・女性18g以上、30〜64歳で男性22g以上・女性18g以上です。
水は栄養素に入らないの?
五大栄養素には入りませんが、体に欠かせないものです。大人の体重の半分以上は水分で、汗をかいて体温を下げたり、栄養素や不要なものを運んだりしています。車でいえば冷却水です。
ビタミンやミネラルはサプリメントでとればいい?
サプリメントでもとれますが、種類によってはとりすぎになることもあります。まずは毎日の食事でそろえるのが基本です。
子どもに説明するときは?
「ごはんはガソリン、お肉やお魚は体の部品、野菜はエンジンオイル」のように、身近なものにたとえると伝わりやすいです。この記事の図をいっしょに見ながら話すのもおすすめです。
まとめ|体という車を、毎日の食事で整えよう
- 炭水化物=ガソリン:体と脳を動かす燃料
- 脂質=予備タンク:ためておける燃料。細胞やホルモンの材料にも
- たんぱく質=車体と部品:筋肉や血液など、体をつくる材料
- ビタミン=エンジンオイル:燃料を力に変える働きを助ける
- ミネラル=ボルトとバッテリー:骨や血の材料になり、体の調子も整える
どれか1つだけを増やすより、5つをそろえることが大切です。主食・主菜・副菜をそろえることから、今日のごはんで試してみてください。


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